『まずは敷地と家を見ていただけますか？』というお問い合わせから始まったY様とのお打合せ。実際、現地に行ってみると山の斜面に建築中のＹ様のお住まいがありました。敷地内高低差は10m以上あり、エントランスは2階から入る形で計画していただいているものの、どこを歩いて玄関までアクセスするかは全く決まっていない状況。そして2階リビングからは湘南の海の水平線を眺められる絶好のロケーションでした。
まずはエクステリアから計画することに。エクステリアはGLより２ｍ～５ｍ上がっている道路面との取りあいから検討を進めました。玄関の高さがGLより約３ｍ上がっていることもあり、ウッドデッキとコンクリートを併用した構造体をベースに計画をしていきました。また道路面には境界線に沿ってガードレールが設置されており、ギリギリに壁やフェンスを設置すると景観上余り好ましくない事が判明。通常は敷地境界線に沿って壁・フェンスを立てますが敢えて余裕のスペースを取り、遊歩道的なスペースを作ることに。これによりファサード全体に余裕が感じられるようになりました。
構造上の問題もあり、向かって右側の門柱は大理石仕上、左側はハードウッド仕上とイレギュラーな収まりながら、仕上がりは特に違和感がありません。
建物の屋根がとても良く見えるのもあり、床仕上げはバランスを考え明るい発色のピンコロ石を並べ、南欧の舗道を彷彿させる作りに。白い目地が更に雰囲気を盛り上げています。

そして南側の海を臨むウッドデッキ。ここがこの建物の中でも最重要な場所の一つです。ウッドデッキも単純に作れば良いのではなく、適切な大きさと形状があり、ロケーションごとに計画する必要があります。今回のウッドデッキで最重要なのは海を眺める為のウッドデッキなので、最も海が美しく見えるようにするにはどうしたら良いか、考え抜いてこの形状になりました。また2階デッキは1階より全体に600mm大きく張り出した作りなっており、1階の日除け的な要素もありながら、メインスペースの2階ウッドデッキを更に快適な空間にしています。そして1階のウッドデッキは建物1階のサウナで水風呂に入った後に外気浴が出来るスペースとしても使われています。自宅に居ながらにしてととのう事ができるという最高の空間です。もちろんバスルームの目隠しも兼ねているので通常のバスタイムも快適そのものです。

この夢のような邸宅は、エクステリア・ガーデン・ウッドデッキの屋外環境までしっかりと計画することによって成り立っています。高難易度の物件ですが、その分お喜びいただけて良かったです。有難うございました。